「バーンイン」は、こういう意味で使ってます
「エージング」と「バーンイン」を、同じにしている人がいるかもしれません。
「エージング」は、酒樽に入ったお酒だとすると、「バーンイン」は、人の人生みたいなものだとおもいます。
「エージング」は、状況が良ければ、経年に従って、良くなりつづける意味に使われているとおもいます。
私は「バーンイン」を、車などの「慣らし運転」などのように、「本来設計した状態に近づける」ことの意味で使っています。
「バーンイン」と「エージング」を混同した場合、
- 経過時間に比例して素直に良くなるか
コンデンサーは、10時間の通電で90%、100時間の通電で、ほぼ設計の値が発揮されると言われています。つまり、組み立てたばかりのアンプは、真空管、トランジスタに限らず、一ヶ月は通電してからでないと、評価できないということです。
ここで、味わうべきは、組み立てた直後に、「普通」に聴こえたものが、10時間後に「悪く」聴こえて、50時間後に「良く」聴こえることが、よくあるということです。
もっと言ってしまえば、一旦組上げたアンプは、気に入らなくても、一ヶ月はそのままで聴いて、ネジ類をまし締めしてからでないと、本来の音は聞けないということです。
組み立てたばかりのアンプの、CR類を、とっかえひっかえする人の話しよりも、中古部品で組み立てる人のほうが、「話しがまとも」だったりするのは、ここらへんから来ます。
- 短期的/長期的な別の現象の見分け
その日、アンプの電源を入れてから、一時間経って安定したとすれば、それはアンプの中の話し、半日経って安定したとすれば、、それは部屋の中の話し??熱の面で言いたい所ですが、半日経って安定したとすれば、それがメーカー製のアンプであれば、「放熱を悪くするようなことしている」「一部の部品に寿命が来た」などで、熱ダレの兆候で落ち着いて「壊れるのを待っている」だけです。
などの、幸/不幸が起こりえます。
「バーンイン」の例
- <固定バイアスの真空管アンプのIPの例>
まず、アンプ本体に使われているコンデンサー類。これは先に書いたとおりです。
やっかいなのは真空管です。
短期的にはヒータの加熱で、最初急激にプレート電流が流れ出し、それから徐々に電流が上がっていきます。これは、だれしも考え付く範疇です。
ところがそれと同時に、球の銘柄によっては、長期的に、最初は流れなくて、そのうち流れるようになって、また流れなくなる。といった可逆的な変化が加わります。
結局、新品の球に入れ替えた時には、組み立てて半年くらいのアンプで、10日くらい通電してからIPを下限に調整すると、2A3シングル本来の、小音量からリニアリティの良い音が出るということがわかりました。これをもって、「バーンインがうまくいった」ことにしています。
これがわかるまでに、比較のためにTU-897を3台使いました。
- <8cmフルレンジの箱の強度の例(1)>
ユニット自体、アンプを選ぶタイプなので、ちょっとした条件が変っただけで評価の上り下りが激しいですが、その箱も大変でした。
シナベニア自体、あまり使ったことが無かったので、薄くニス塗りすると、どんどん綺麗になっていくので、やりすぎたら、それが乾いていく過程で、箱がどんどん締まっていって、半年前と今とでは、全然違う音が高いほうから低いほうまでしています。
このため、組み合わせのツイータを2回、レベル合わせの抵抗、カットのコンデンサーを、それこそ数え切れないほど、足したり換えたりしています。
これほど「岡谷のVXコン」の似合った高域も珍しいです。
これをもって、「エージングが、ほぼ終わった」としたいところです。
- <8cmフルレンジの箱8cmフルレンジの箱の強度の例(2)>
先の例と同じで、これも一度「淡い茶色」に塗ったのですが、ムラが目立って格好悪いので、「濃茶色」に塗りなおしたところ、箱がどんどん堅くなって、半年でがらっと音が変り、今ではFT65Hを載せてます。
ハイコンプライアンスなユニットでは、箱の剛性がものを言うので、ほっといただけで、どんどん良くなっちゃったわけです。
- <10cmフルレンジユニットそのもの例>
FE108Superは2組持っていて、ほぼ8年使ったものと、取りおきしておいたものと比較試聴してみたところ、特色とする解像度の高い高域が、まったく同じように出ているように聴こえました。
これは、ユニットに関して、「エージングそのものが存在しなかった」と言えます。
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平成13年1月23日 de jp3exe ex je2egz only for life.